答えを教えない教育

ゴールドコーストにある公立小学校でLOTE(Language Other Than English:第二外国語)の先生として日本語を教えている友達のアシスタントをしていたとき、それから”Education Support”の資格取得のために教育実習をしていたとき、日本とオーストラリアの教育の違いに驚いたということは”about”のページに書きました。具体的にどんなところに興味をもったのか、少しづつ紹介していきますね。

If you tell me, I’ll forget. If I discover it, I’ll remember.

まず印象的だったのが、何年生のどの科目の授業であれ、生徒たちに考えさせる場面が多いことです。先生が黒板に何かを書いて教えるという日本でおなじみの授業風景はあまりみられず、教えるというより、まずは「考えさせる」ことに重点をおいているようでした。

LOTEの授業でYear6のクラスを手伝っていたときのことです。その日の授業内容は「〜が好きです」「〜が好きじゃないです」という文法でした。授業の最初に「〜が好きです」と「〜が好きじゃないです」のそれぞれの意味が”I like ~.”と”I don’t like~.”だと正解を教えるようなことはしません。日本語で「りんごが好きです」「ダンスが好きです」などの例文をニコニコと表情豊かに話し、それから「にんじんが好きじゃないです」「ネコが好きじゃないです」などと今度は困ったような顔をしてみせます(もちろん、りんごやにんじんという単語を生徒は知っています)。この段階ではほとんどの生徒が「?」という反応なので、りんごやダンス、にんじん、ネコという部分を生徒たちの知っているであろう単語に置き換えて続けていきます。そうすると何人かの勘のよい子たちが「わかった!」と手をあげます。このように、最初に答えや意味を教えてしまうのではなく、まずは推測させることからレッスンが始まります。時間はかかりますが、子供たちは自分で正解をみつけようと頭を働かせます。ゲームのように導入すれば、文法の授業だって子供たちは意欲的に取り組みます。

まずは生徒たちに考えさせる、推測させる。そうして導きだされた答えは簡単には忘れません。まさに“If you tell me, I’ll forget. If I discover it, I’ll remember.”ですね。